社労士からひとこと~職場の健康管理~

書籍『新版判例から学ぶ従業員の健康管理と訴訟対策ハンドブック(法研2009年刊)』によれば、従業員の健康管理について、過去に争いとなったケースでは争点は主に以下の4つに分けられるようです。

①健康診断を実施したか、健康配慮義務を果たしたか
②過労死、過労自殺と認定できるか(労働時間の長さ、労働の質、うつ病発症の有無)
③復職判定は適切だったか
④個人情報保護に抵触するか


こうした争点について、日々の労務管理の実務においては、それぞれ

①健康診断の実施と適切な事後措置
②過重労働を防ぐ労務管理
③休職・復職制度の設計と運用(産業医などとの連携)
④健康情報の管理


といった面からの対応が求められます。

小規模事業所での健康管理対策はどうしても遅れがちです。
社会保険労務士を含めた外部の官民のサポートを活用しつつ、慎重に事態の予防と解決に取り組みたいものです。(塩澤)

メンタルヘルス上の理由で休職・退職した従業員の割合は64.3% 300人以上規模で(労働政策研究・研修機構)

独立行政法人労働政策研究・研修機構ウェブサイトコラムで言及された「職場におけるメンタルヘルス対策に関する調査(労働政策研究・研修機構)」の中間速報によれば、「メンタルヘルス上の理由によって休職・退職した労働者の割合」は、規模全体では26.2%と3割弱程度にとどまるものの、300人以上規模で64.3%と過半数を占めているとのことです。


また事業所の85.4%が、メンタルヘルスの問題が「生産性の低下」や「重大事故」など企業パフォーマンスにマイナスの影響を与えていると考えており、過半数が「相談窓口の整備」「管理監督者への研修」「労働者への研修」(それぞれ55.7%、49.3%、38.0%)などのメンタルヘルス対策に取り組んでいます。それらの取り組みの効果については、「効果あり」と評価する事業所が70.3%にのぼるそうです。
 
http://www.jil.go.jp/column/bn/colum0162.htm

働きがいに関する意識調査(NTTデータ経営研究所)

11月18日に発表された「働きがいに関する意識調査(㈱NTTデータ経営研究所)」の調査結果によれば、「3年前と比べて働きがいが低下した」と感じている人は44.8%、「現在、心の疲弊感を感じる」は69.7%にも達するとのことです。
この調査は、「働きがい」に最も影響を与える要因などを明らかにし、働きがいを高めるための方向性を探るべく実施されたもので、調査対象はインターネット検索サイト「goo」リサーチ登録モニターの20代以上の男女1,000人強(30~40代が74%前後/役職者51.2%、一般社員47.9%)でした。

主な調査内容は「働きがいの現状と、働きがいを高める要因/阻害する要因」「3年前と比べた働きがいの変化とその要因」「心の疲弊感の現状と、働きがいとの関係」等となっています。



【主要調査結果】

1.働きがいの現状
◆現在、「働きがいを感じている」人は52.4%。
「仕事の価値の実感」、「仕事を通じての成長実感」、「仕事を通じての力の発揮」等の「仕事の要因」が、特に働きがいを高めている。
一方、「会社での将来のキャリアイメージが描けない」、「会社では創造的な仕事を促す環境作りがない」等の「会社の要因」が、特に働きがいを阻害している。



2.3年前と比べた働きがいの変化
◆3年前と比べて、「働きがいが低くなった」と感じている人は44.8%で、「働きがいが高まった」と感じている人22.5%)を大きく上回る。
働きがいが低くなった第1の要因は、「会社の将来性が感じられないから」で42.7%が回答。



3.心の疲弊感の現状
◆現在、心が疲れて弱っていることを示す「心の疲弊感を感じている」人は69.7%にも達する。
働きがいを「感じているグループ」の方が、「感じていないグループ」よりも、「心の疲弊感を感じている」人は24.2ポイント低く、両者に深い関係があることを示している。



http://www.keieiken.co.jp/aboutus/newsrelease/101108/

雇用増で税制面に優遇 政府税調方針

気になるニュースがありましたので貼り付けます。
MSN産経ニュースより抜粋。

「雇用促進税制、「雇用保険者」が対象 非正規に拡大、政府税調方針

2010.11.17 01:30

 政府税制調査会は16日、雇用を一定の基準以上増やした企業を税制面で優遇する「雇用促進税制」について、企業が同税制の要件に沿って雇用する労働者の対象を、雇用保険の被保険者にする方針を固めた。これにより対象者は正社員だけでなく、パートやアルバイトなどの非正規雇用者にまで広がる。18日の政府税制調査会で報告する。

 雇用保険は週20時間以上労働し、31日以上の連続した雇用が見込まれる人が対象になる。65歳以上で再雇用された人や季節雇用者、会社の役員などには適用されない。

 政府は、雇用促進税制創設の目的のひとつに、正規雇用の増加を掲げていた。ただ正規雇用者には現在、法的な定義がないため、実際の雇用者数を増やさずに社内の定義を変えるだけで、「正社員を増やした」と偽装して税制優遇を申請する“抜け道”を作る恐れがあった。このため、対象者を確定できる雇用保険を基準に据えることにした。

 このほか、障害者の働き口を増やすため、雇用した企業に対する設備投資の優遇税制の期限を今年度末から延長し、適用条件も緩和するなどの対策を別途実施する。」

中国の労務管理  【社労士からひとこと】

 

この秋、中国の雇用環境と労務管理について、お話させていただく機会がありました。

中国現地の労務については、1年半ほど中国に語学留学した縁で、現地就業規則の作成や現地専門家の紹介などに関与した経験がありました。

現地の雇用環境と労務管理を語るうえでは、「戸籍制度」や「単位制度」「漸進主義」の理解が欠かせません。

農村戸籍と都市戸籍という出自の違いが教育や社会保障・就労などを終生支配すること、
社会保険が地域の労使にほぼ丸投げされ、非効率な制度が乱立していること、
中国共産党の存在が企業経営や職業人生にいまだ少なからず影響を与えていること、
各地の暴動の原因など…。

国を問わず、労務管理の現場には社会の抱える矛盾がにじみでるものだと痛感します。

ところで上記内容について小職が寄稿した書籍『「グローバルチャイナ」の現在』(大学教育出版)が出版されました。経済・経営のグローバル化と中国社会、文化観と教育の未来について、学者・ジャーナリスト・実務家の論考が掲載されています。

ぜひ、ご一読ください。(塩澤)

なんらかの残業対策を講じている事業所は64%(みずほ総研)

みずほ総合研究所は10月18日、みずほグループ取引先法人会員制度の役職員を対象に「残業」に関するアンケート調査の結果を発表しました。概要は以下のとおりでした。


1.ある程度の残業はやむをえない
経営者・従業員とも「ある程度の残業はやむを得ない」と考えているものの、従業員では割合が低く、「減らすべき」とする回答も多くみられ、温度差が見て取れます。

経営者(430人)の回答…「収益の維持・向上等のためであれば、ある程度の残業はやむを得ない(69.5%)」「収益のためであっても残業は減らすべきだ(17.7%)」

従業員(475人)の回答…「ある程度の残業はやむを得ない(48.4%)」「残業は減らすべきだ(40.8%)」

2.64%が『何らかの残業対策を実施済み』
規模の大小で取り組みに差がありました。従業員500人超の事業所で76.8%だったのに対し、30人未満の事業所では44.4%に留まっています。

効果的な残業削減策は以下のとおりでした。「会議の削減や業務フローの見直しなどを進める(57.2%)」「残業を事前申請制にする(50.9%)」「ノー残業日を設定する(48.0%)」「残業の上限時間を設ける(41.5%)」「一定時間で全館消灯またはPCの強制シャットダウン(21.5%)」「一部業務を外注する(15.9%)」「従業員を増やす(13.3%)」「派遣、パートを増やす(12.4%)」

3.残業時間の理想は10時間未満も現実は10~30時間
毎月の残業時間の実態と理想について、従業員の回答は以下のとおりでした。毎月の実際の平均残業時間は「10~30時間(44.7%)」「10時間未満(24.3%)」「31~50時間(17.2%)」、理想とする残業時間は「10時間未満(42.5%)」「10~30時間(35.2%)」「残業なし(18.5%)」

4.残業のマイナスの影響は「疲労蓄積」
残業のマイナスの影響についての従業員の回答は「疲労蓄積(80.8%)という回答がもっとも多くみられました。
年齢別では、20歳代では「プライベートな時間の減少」とする回答がもっとも多く、年齢層が上昇するに従い「疲労の蓄積」とする回答が増えていきます。



みずほ総研レポートURL http://www.mizuho-ri.co.jp/membership/enquete/pdf/enquete201010.pdf

雇用保険は2年を超えて遡及加入可能に(厚労省)

雇用保険制度が10月1日に改定され、「雇用保険料が給与から天引きされていたことが明らかで」「事業主が雇用保険の加入手続きをしていなかった」ケースについて、2年を超えてさかのぼって加入手続きできるようになりました。
従来は、さかのぼって加入できる期間は2年以内に限られていました。

離職した人が雇用保険の基本手当(いわゆる『失業手当』)を受けることのできる日数は「年齢」「被保険者だった期間の長さ」「離職の理由」などにより決まります。

この制度の対象になるのは平成22年10月1日以降に離職した人です。また、在職中の人も制度の対象となり、2年を超えてさかのぼって加入手続きをすることが可能になります。

11月の主な人事労務・・・最低賃金の改定【首都圏1都3県】など

(1)最低賃金の改定


下記のとおり変更されました。

東京都791円→821円(10月24日から)


埼玉県735円→750円(10月16日から)


千葉県728円→744円(10月24日から)


神奈川県789円→818円(10月21日から)



(2)労働保険料第2期分の納期限

分納の場合の第2期納期限は11月1日です。

最低賃金の改定/雇用保険は2年超えて遡及加入可能に/何らかの残業対策実施の事業所は64%/社労士からひとこと 中国の労務管理 事務所ニュース2010年11月号を発行しました。

このたび事務所ニュースを配信しましたので、公開いたします。


内容は以下のとおりです。



・最低賃金の改定 ・・厚労省

・雇用保険は2年超えて遡及加入可能に・・・厚労省

・なんらかの残業対策を講じている事業所は64%・・・みずほ総研

・社労士からひとこと 中国の労務管理

PDFファイル公開URL
http://www.shiozawatoshiya.com/archives/1323.html