近況報告~懲戒について~

最近「懲戒」について人前でお話する機会がありました。就業規則に規定はあるものの、実際は発動されることの少ないこの「懲戒」制度、検証してみますと奥深い世界が広がっています。


今月の近況報告では「懲戒」の考え方や実務のポイントについて、判例や労働法学者の考え方を手短にまとめてみます。

①懲戒権の根拠
昭和50年代の最高裁の判断は、「企業の存立意義と円滑な事業運営のため、企業は社員に対して合理的で目的にかなった秩序を作り、維持する権限がある」としました。
一方、社員の側は、「労働契約に付随して企業秩序を遵守する義務」があるとされました。

②懲戒権が認められる理由
企業秩序維持のため、企業側が本来もっている手段には「損害賠償請求」「解雇」があります。
前者は損害の発生が前提のため対抗手段としては有効といえません。
後者は、労働法上規制されています。
この2つの手段に限定してしまうと、企業運営面からも社員保護の面からも妥当といえません。
この点から懲戒権が承認されています。(土田道夫「労働契約法」2008)

③懲戒権の行使に対する制約
懲戒権は労働契約や就業規則の根拠を必要とします。

また、行使する際は「企業秩序を実際に侵害したか、すくなくともその実質的なおそれがあること」「処分が相当で、手続きも適正であること」という2つの要件を満たさなければ無効とされます(労働契約法)。

刑罰に似た制裁のため、「不遡及原則」「二重処分禁止」など、刑事法に類する厳格な規制のもとに置かれている点にも留意する必要があります。
(塩澤)

【9月の主な人事労務情報】

(1)算定基礎届による社会保険料の変更

9月分から変更されます。(10月給与から控除のときは来月給与控除額から変更)

(2)厚生年金保険料率の引上げ
9月分から来年8月分までの保険料率が、0.354%引き上げられます。
顧客様には事前に料額をお知らせします。

職場の熱中症をふせごう!(島根労働局)

熱中症は、屋外作業だけでなく、屋内作業においても発生するおそれがあります。


熱中症を疑わせる症状があるときは、涼しい場所で体を冷やし、水分と塩分をとりましょう。「水分を自力で摂取できない」「意識がない、呼びかけに応じない、返事がおかしい、全身が痛い」といった異常がみられたら、ためらわず救急隊を呼び、医師の手当てを受ける必要があります。

熱中症予防や、発症時の救急対応フローチャートなど、島根労働局の配布しているパンフレットを同封します。

ご参考になれば幸いです。

暑い日がまだまだ続くようです。皆様くれぐれもご自愛ください。
 
http://www.shimaneroudou.go.jp/sttstcs/prevent_heat_stroke.pdf

60代前半の老齢厚生年金受給権者が継続再雇用されたときの取扱の一部変更(年金機構)

これまで、60代前半の特別支給の老齢厚生年金の受給権者が定年後再雇用されるとき、社会保険料をすぐに再雇用後の給与額に応じて変更する仕組みがありました。


9月1日からは、定年制のある会社で定年以外の理由で退職し、再雇用されたときや、定年制のない会社で再雇用されたときも、同じようにすぐに社会保険料を変更できるよう、仕組みが改正されました。

※この仕組みで「再雇用」とは、1日もあけず同じ職場で再雇用され、被保険者資格喪失届と同取得届を同時に提出するケースをいいます。

①通常の社会保険料の変更

9月の定時決定か、給与増減があって4ヶ月目の随時改定による変更が一般的な変更方法です。

②今回拡大された仕組みによる変更
たとえば給与額50万円の該当者が定年後、「嘱託」などの身分で再雇用され、給与額が20万円になったとき、社会保険料は4ヵ月後でなくその月から20万円相当の額に変わります。

※雇用保険の高年齢者雇用継続給付と老齢厚生年金の調整なども関連します。詳細はご相談ください。

10月改正の最低賃金の答申大幅引上げも(東京、埼玉、神奈川、千葉各労働局)

各地方の最低賃金審査会が、今年8月6日の中央最低賃金審査会の目安の考え方にもとづいて答申した最低賃金の額と上昇幅は下記のとおりでした。


各労働局長が答申を受け、必要な手続きをおこない、改正の効力が発生するのは10月中となる見込みです。
 
     答申額  改正幅
東京  821円  30円
埼玉  750円  15円
神奈川 818円  29円
千葉 744円 16円